2014年の冬休み講習に家庭科の授業・調理実習として、カレーをルウを使わず、スパイスだけから作りました!
使用したスパイスはターメリック(ウコン)・シナモン・レッドペパー・クミン・ガラムマサラ・オールスパイスに塩、しょうが、にんにく。本当はコリアンダーもあるといいんだけど…見つからなかったヾ(--
材料はタマネギ・鶏肉だけのベーシックな材料で。もちろんこれに様々な材料で応用は効きますが、今回は基本形を覚えるために、あえてシンプルに。
さあ、これをまずはタマネギから炒めるのだけど、せっかくなのでこの調理実習も「理論」から攻めてみましょう。
○タマネギの調理法
タマネギの調理法には2種類あります。それは「強火でさっと」炒めるか、「弱火でじっくり」炒めるかです。
タマネギには「硫化アリル」と呼ばれる成分が含まれており、これがタマネギ特有の「辛み」になっています。そしてこの硫化アリルは、加熱すると甘み成分に変化するのです。
タマネギの辛みは、人によっては苦手な人も多いですよね?(子どもでタマネギが嫌いな子が多いのは、きっとこの辛み成分を嫌うのでしょう。) でも一方で、この辛みがタマネギの良さでもある…。
そこで、もしタマネギの
「辛み」を生かしたいのなら、奥まで火を通しきらない「強火でさっと」を、
「甘み」を最大限に引き出したいなら、タマネギ全体にしっかりと熱を通す「弱火でじっくり」を
選択するのです!
今回は「弱火でじっくり」を選択しました。
○肉の調理法
肉の調理法は、一般に「始めは強火、焼き色がついたら弱火」です。
はじめ強火にする理由は、まず肉の表面を固くすること。こうして肉の表面全体をコーティングすることで、肉の旨みの入った肉汁を閉じこめるのです。
でも逆に、強火を続けてしまうと表面は焦げるわりに、中まで火が通っていないということになってしまいます。そこで後半は弱火で、焦げないようにしながら中まで火を通すのです。
さあ、そんなわけでタマネギと肉を炒め終わったら、あとはスパイスと塩・しょうが・にんにくを加えて煮込みます!!
○「ダシ」とは何か
さあ、煮込んでいる間にも一つお勉強です。
人間の味覚には「甘み」「辛み」「苦み」「酸味」「塩味」と、あと1種類「旨味」があります。この「旨味」というのがいわゆる「ダシ」ですが、おそらく1番実感がしにくい味でしょう。(実際、この味の存在は一番後に発見されました。)
今回は、その実感しづらい「旨味」を実感してもらうことにしました!
用意するものは、まずは今まさに煮込んでいるカレー。そしてもう一つ。肉・タマネギ・しょうが・にんにく以外は全く同じ配合のスパイス水溶液!
この2つを飲み比べると……結果は明らか! おいしいカレーと、辛いだけの水……。そう、この差をつけている物質こそが「ダシ」であり、「旨味」なのです。
旨味を始めに発見したのは日本人で、昆布に含まれている「グルタミン酸」が始めに見つかったものですが、タマネギにもグルタミン酸は多く含まれており、また肉やオリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」も旨味成分です。
この肉とタマネギによる旨味が、西洋料理を代表する味となります。西洋料理で日本ほど意識して「ダシ」をとらないのは、この組み合わせによりダシ成分が十分に出るからですね。
逆にこれらを使わずに昆布・カツオ節などでダシをとると純和風、その両方を組み合わせると「和洋折衷」な味付けになる、というわけです。スパイスや塩コショウなどは、最後に味を調えるだけのもの。「和風」や「洋風」を決める決定打は、この「旨味」にこそあるわけですね☆
そんなこんなで家庭科に理科のお勉強を交えながら、「スパイスだけのカレー」の完成でーす!
味もなかなか。旨味をうまく引き出せました!!d(▽^
○最後に
このように、今回の体験型学習では実践だけでなく「理論」をスパイスしました。
なぜそれが必要なのか。それは応用の効く知識とするため。
今回はカレーの調理実習。でもそこに交えた理論「タマネギの調理法」「肉の調理法」「ダシの理論」。それはカレーだけでなく料理全般に通ずること。この説明をしなければそれは「カレーの作り方」を覚えたに過ぎない。でもそこに理論のスパイスが通ることで、カレーだけでない、料理そのものの応用・レベルアップにつながるのです。