10・11月経過

■ インタビューの分析手続き

 10~12月にかけて、子ども達のインタビュー調査を一通りやりきりました。状況に応じて追加のインタビュー調査も行っていきたいと思います。さて、インタビュー調査も終わりましたので、11月中旬以降から分析を行っています。今回の調査において、修正版グランデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析を行っています。M-GTAの使用にあたって、木下康仁さんの『ライブ講義M-GTA 実践的質的研究法 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチのすべて』を参考にしております。
 
 木下さん(2007)によると、M-GTAは、概念やカテゴリーを生成する分析過程の中で、被援助者がどのようなニーズを持っているのかが明らかになっていくため、健康問題や生活問題を抱えた人々に専門的に援助を提供する実践的なヒューマン・サービス領域の研究に適していると述べています。

 当法人のようなフリースクールも不登校問題に対する支援を行っていることから、フリースクールの活動もその一領域であるといえ、M-GTAが本研究の方法として適していると考えられます。また、フリースクールには、そこに通う子ども・スタッフ・ボランティアの社会的相互作用があり、それはフリースクールにおいて重要なファクターであるといえます。どういうことかといいますと、当法人のようなフリースクールでは、スタッフが子どもを一方的に制御することなく、スタッフから子どもへ、子どもからスタッフへという双方のやり取りによってさまざまな活動が行われております。勉強も子どもからの訴えがあったからこそ始まっているのです。言い換えれば、相互作用によってその活動内容も変化し続けています。

 フリースクールの長所ともいえる特徴ですが、研究の視点からとらえると、そうした変化は分析において非常にやっかいです。しかしながら、M-GTAは質的研究法の中でもこうした変化の様態を捉えることができ、さらにそうした変化について解釈を行っていくことができるといわれています。以上の点から、筆者は本研究をM-GTAによって分析することが適切であると判断し、分析法として用いるに至りました。
 
 分析の手続きは以下の通りです。
 ①インタビューから作成した逐語録(文字データ)をもとに、各対象者の内容と流れを把握する。
 ②一番多彩な内容を語った人を最初の分析焦点者に設定し、テーマと関連する箇所に注目して概念の生成を始める。
 ③分析ワークシートを作成しながら概念を生成する。
 ④同時並行的に他の具体例をデータから探してヴァリエーションの豊富さを確認する。必要に応じて、再定義や概念の再命名を行う。
 ⑤概念の生成にあたって、類似例と対極例の2方向で検討し、絶え間なく継続的比較分析法を行う。解釈が恣意的に偏ることを回避する。
 ⑥順次、分析焦点者を移していき、必要があれば概念を生成し、最終的に全てのデータ分析を完了する。
 ⑦生成された概念を概念同士で比較し、関係のある概念を複数集めてカテゴリーを生成する。
 ⑧カテゴリー同士の関係を検討し、全体の関係とプロセスを表す結果図を作成する。
 

bunseki

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