2・3月経過

■ 本事業を通じた考察と報告書の作成

 おまたせしました。文部科学省の事業も終わり、無事研究結果や考察を導き出すことができました。できた冊子は約30ページ。論文形式で作っているので、内容はやや研究者向けというか読みにくいところが多々あります。この論文からの引用ですが、こんな感じのことを考察として書いています。
 
~作成した論文から一部引用~
 本事業は、文部科学省の委託を受けて実施された。2015年5月25日に内定し、2015年6月10日から2016年3月31日まで行われた。
本研究では、フリースクールを教科学習の視点から捉えることで、不登校の子どもたちへの教科学習の機会の提供をフリースクールでどのように行っていくべきかを質的な分析を通じて考察した。それにあたって、出席率を通じた各学習プログラムのニーズや役割の検討を行い、子どもの出席率に応じて各カテゴリーに分類した。また、インタビューを通じて、子どもたちが学習の参加に至ってから、学習に継続的に参加し、学習習慣が定着するように至るまでのプロセスを質的に分析し、全体の傾向をモデル化した。その結果、次のことが分かった。
 
(1)個別指導塾みなもの学習はお昼の授業の時間に比べて出席率が高く、より勉強しているという達成感や所属感が大きいが、一方、失敗した時のダメージも大きい。
(2)学習に継続的に参加できる子どもは、フリースクールの居場所の活動にも日常的に参加できているケースが多い。
(3)子どもたちはまず、「学習をしなければならない」という思いから学習に参加する。自分には学習できると思うと感じた子どもは、優越感などを感じながら「外発的調整方略」を用いた学習を行う。その後、外部からの結果を得るなどの過程を経て、次第に「内発的調整方略」を用いた学習へと移行する可能性がある。
(4)「外発的調整方略」から「内発的調整方略」へと移行する過程において、フリースクールの居場所の活動と同様に、学習においても子どもの自己効力感を高める効果がある可能性がある。
 
 なお、カテゴリー分けとインタビュイーについて、「(1)お昼の授業の時間も、個別指導塾みなもも出席率が高いグループ」に属する子どもは、「内発的調整方略」による学習を行っている段階に至っている子どもであり、「(2)お昼の授業の時間は出席率が低く、個別指導塾みなもは出席率が高いグループ」に属する子どもは、「外発的調整方略」による学習を行っている段階に至っている子どもであった。
 
 以上の結果から、フリースクールにおける学習の位置づけを包括的に考察する。
(1)学習を始めようとしている子どもについて、その子どもが教科学習を行うことが適切かどうかについてはフリースクールにおける活動の状況を参考にする。
(2)学習に至った初期の子どもの授業は、「外発的調整方略」を用いてなるべく授業の負担が減るように配慮する。この段階では、本人の学習・進学ニーズよりも、心理的な配慮を行って、達成体験や楽しさを重視した学習を行う。そのために、「所属感」のために学習に参加することや、休みがちなことも肯定的に受け止め、子どもの変化を待つ姿勢を見せることが重要である。
(3)お昼の授業の時間と個別指導塾みなもの双方に参加している場合、少なくとも個別指導塾みなもの出席率が高ければ、教科学習がその子どもにとって肯定的な影響を与えていると判断してよい可能性が高い。
(4) (3)の状態にある子どもが何らかのテストを受けることを求め始めた場合、学習を達成体験や楽しさを重視したものから、テストや試験などで本人の満足のいく結果を残すことのできる学力重視の勉強に転換していく。
(5) (4)をクリアした子どもの授業について、徐々に「内発的調整方略」を用いた学習を意識した授業に転換していく。本人の進学ニーズや学習ニーズを聞き取り、そのニーズに応じた学習を提供する。
(6) お昼の授業の時間と個別指導塾みなもの双方に参加している場合、両方の出席率が高い状態が持続すれば、教科学習がその子どもにとって肯定的な影響を与えていると判断してよい可能性が高い。
 
 今後、簡易な内容にして、HP上にに成果報告を記入していく次第です。最後に、研究にご協力くださいました皆様、ありがとうございました!  

sasshi

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