アリアンロッド・リプレイ・ナイツ こまどりの夢

2011年4月8日セッション 計3時間 書き起こし:マイヤ

 

馬探しギルド 「ナイツファインダー」 ギルドレベル5
 「ギルドマスター・ケイが逃がしてしまった、村の馬たちを探す」という、非常に個人的かつ途方もない目的のためにつくられたギルド。皆、ノリでついてきたり、入ったとたんに後悔したりと大忙し★
所持ギルドスキル 《蘇生》、《祝福》、《容量拡大》、《強化》、《強化》

GM マイヤ
 主に忠実なメイドは正義。

PC1 おにのこ 「ケイ」
 キャラクターレベル6のシーフ/レンジャー。

PC2 だぁ子。 「ヴィアブレイズ」
 キャラクターレベル5のアコライト/バード。

PC3 リリア 「アセティリーナ・シルフィード」
 キャラクターレベル1のメイジ/サモナー。

PC4 黒龍 「リー・メイ」
 キャラクターレベル3のウォーリア/サムライ。

 彼はかつて、真理を求めた。
 彼はかつて、正義を求めた。
 彼はかつて、理解を求めた。
 彼は最後に、孤独を求めた。
 無垢なるコマドリはくるくると、主のためによく働く。
  アリアンロッド 『こまどりの夢』
 冒険の舞台が君を待つ!!

 

 オープニング01――コマドリの屋敷  ナイツ組

GM ナイツ組はいつものように、神殿でグダグダしておいて下さい。

外野のアセナ いつもなの!?

ケイ マスターはいつものように酒呑んどきまーす。

ヴィア とりあえずパン食べる。

リーメイ ぐだぐだ男の子をナンパしに行こうとする。

ケイ いつもどおりデス☆

GM では、いつもどおりフィリスが受付から駆けこんで来ます。 「ああ~、待って下さいぃ~!」(笑)

ケイ いつものように言おう。 お茶しない!?

GM 「先に、依頼をお願いしますう!」 ラインの街は、現王・エレウォンドが建てた国なので、国の歴史自体はまだまだ新しいです。ライン建国以前からある建造物も多く、少しずつ、国はそれらを把握しようと調査を重ねています。
「ラインの街外れに、古い洋館があります。100年近く前に、人嫌いの魔術師が館に引きこもって暮らしていたそうです。今では打ち捨てられたその館には、妖魔が巣食っているとか。ちょっと放って置けなくて、立ち入り調査をすることになったのですが、調査隊が安全に調査を行えるよう、前もって屋敷の妖魔達を討伐したいと考えています。屋敷を探索し、安全の確保と、なにがあるかをざっくり調べてきて頂けませんでしょうか」

ケイ カワイイ女のコの頼みなら!!

リーメイ 男の子いるんやったら、ウチも行く! 街中で出会える? 出会える? 酒呑める? そしたら行く!

GM 「いや、街外れの洋館って言いましたよね!?」(汗)

リーメイ だーかーら! イケメンおったら行く言うてるやん!

ケイ マスターでは不満か!!(一同笑)

リーメイ いやぁ、マスターでもええねんけど。もっと欲しいから!!

ヴィア いるんじゃなぁい? ボクそういうのあんまりスキじゃないけど~ぉ。

GM 「え、えっと、えっと。引き受けて頂けるということでいいんでしょうか??」

ケイ (凛々しく)マスターの権限で勝手に引き受けます!

GM 「ケイさん……っ、大好きです!」

ケイ やったーー!!!

 依頼を受ける段階からわちゃわちゃしながら、ナイツファインダーは街外れの洋館に辿り着く。
 錆びた外門をくぐりぬけ、草のおいしげる庭を歩いて館の前に。窓からなかをのぞいてみると、雑草のおいしげる庭に比べ、館内は、とても綺麗に磨かれているようだ。ただ、かかっているカーテンや調度品は、あからさまに古い。ちょうど100年前くらいのモードである。

ケイ やっほーワクワクするぜー!

リーメイ ええ~、雑草あんのー? じゃあウチ飛んどくー!

ヴィア なぁんか起こりそうだよねぇ、この屋敷。肝試しとかぁ、ただの凡人がやらなきゃいいけどぉ。

GM 相も変わらず毒づいてるのが一名!(笑)

GM ナイツ組のオープニングが終わったところで、今回の説明を行います!
 今回は、ランダムダンジョンです。いろんなイベントがどんどん起きますので、どんどん今回のダンジョンである屋敷を踏破して下さい。基本的に、タイルひとつが一部屋、という解釈でお願いします。

ケイ これ、ダンジョン名、街外れの屋敷とかでよろしい?

GM 「コマドリの屋敷」で。

ケイ コマドリのやしき!? コマドリいなさそうだよ!?

GM リアル鳥はいませんが、ちゃんとネタはありますよ。
 ダンジョンレベルは3。1レベルのアセナにはちょっと厳しいので、皆、アセナを守りまくるよーに。

 

 オープニング02――闇の記憶とコマドリメイド  アセナ

GM アセナのオープニング! アセナは記憶喪失の女の子ということですので、しょっぱなから気絶していて下さい!

アセナ おっけーです!

 彼女は走っていた。風に乗り、風より速く、彼女は走っていた。
 奴らは追いかけてくる。
 逃げなければ。逃げなければ。逃げなければ。
 走っても走っても――追われ続けることに、変わりはないけれど。

GM (けろりと声を変えて)とーいうところでー! アセナの顔の上に、ばしゃっと、水分を多量にふくんだタオルが乗っかります。起きて下さい。

アセナ は!? はい!

外野のケイ かくじつに窒息死するかんじだな。

GM 「あれ? おきましたですか?」 かわいらしい声がして、タオルがべりっとはがされます。ひょこんっと、雛菊色の髪をした女の子が、アセナをのぞきこみます。 「めざめたなら、おきてほしいのです」

アセナ ばさっ。起きます。

GM 起きると、女の子の全体像が見えます。肩口がふんわりした黒いブラウスにくるぶしまでのスカート、白いエプロンにヘッドドレスを装着し、髪をきっちりお団子にまとめた、なんていうかすごくクラシカルな感じのメイドが立っています。アセナは天蓋付きのベッドに寝かされていたようです。

アセナ きょろきょろ、あたりをみわたす。

GM 女の子は、にこにこしながら言います。 「あなた、みっかまえに、やしきのげんかんにたおれていました。ひとのいえにかってにはいって、とびらあけっぱなし、どうかとおもうです」 コマドリのような可憐な声で、にこにこ。

アセナ ハテナマーク。

GM/メイド 「あなた、どこからきたです?」

アセナ ハテナマーク。

GM/メイド 「わからないです?」

アセナ こくこく。

GM 「……なら、我は、あなたをどうよべばいいです」 真剣な顔で聞きますが。

アセナ あ。自分の名前、どうしよう。自分の名前はわかるのかな。

GM どっちでもいいですよ。わかんないならわかんないで、こっちで勝手に呼び名つけるだけですし。

アセナ じや、わかってる方向で。名乗ります。 アセナアセナ。

GM 「ふむ。みずからのなは、わかるですか。ならば、もんだいないです。あなたをよぶのにこまりません。もんだいないです」 かくんかくん、うなずきます。動きがとても不自然。

アセナ おお。

GM/メイド 「あなた、みっかまえ、たおれていました。だから、我、あなたをここまでひきずりました。かんびょうです。あなた、からだもうだいじょうぶ?」

アセナ こくこく。 ←首を縦にふっている

GM 「はい、いいえ、よかったのですです。旦那様もおおよろこびです!」 両手を胸の前で組んで、にこにこ笑います。

アセナ おお。かわいい。

GM 「旦那様、これでげんきになるです。きょうは旦那様に、しんせんなにくをおだしできるのです!」 にこにこ!

アセナ ……わたわたします! 一瞬、ハテナマーク浮かべたけど、わたわたしますよぉ!

GM 「それでは、我、おりょうりのじゅんびするです。おとなしくしてるです!」 にこにこ笑いながら、ロングスカートをひるがえして、メイドはパタパタ駆けてゆきます。部屋の外に出て、扉を閉めて、がちゃん!!

アセナ 閉められた!!

GM ……アセナは、わたわたするだけで、叫んだりはしない?

アセナ うん。

GM オーケー。なら、この場にとどまっていては危険だということを認識したところで、オープニングを締めます。

外野のヴィア やばいじゃないか(にやにや)。

 

 ミドル01――主の日記帳  ナイツ組

GM ええと、予想外に、アセナが叫ぶなどの派手な行動を取らなかったので、離れ離れの状態からスタートしましょう。ナイツ組のイベントが終わってから、アセナのイベントをこなしましょうか。

アセナ え、あ、すみません。

GM いえいえ、これはこれで予想外で面白いです。では、ナイツ組、いきましょう。

ケイ はいよー。とりあえず、どっちに行くかを決めるべき。上か右か! マスターはなにも考えずにまっすぐ行きたいけど。

ヴィア&リーメイ いーんじゃない?

ケイ よし行くぜ。

外野のアセナ 駄目だ、このパーティ、きちんと考えて行動する人がいない!(笑)

GM たーたん!(フロアデッキめくる効果音) ……1タイル目から地殻変動、フロアデッキを組みなおせだと? やってられるか、破棄! 改めて、たーたん! 休憩地!
 ここで休憩すると、PC全員のHPMPが完全に回復しそうな図書室です!

ケイ いきなり、やったーぁ! 本をまくらにするんだな!

GM クラブでは、『こま夢』オリジナルイベントが追加発生します。全員、【感知】で判定して下さい。

ケイ ケイがいちばん高い! 達成値13!

GM ケイが、日記帳をみつけました。

ケイ だれの秘密かなあ!

GM 読んでみると、この屋敷を買ってひきこもり始めたあたりからつけられた、家主の魔術師の日記らしいことがわかります。

ケイ ほう! 男!? 女!?

GM それは、ざっと読んだ限りではわからないかなぁ。
 魔術師は、ケイたちには聞き覚えのない、遠いもしくは古いもしくは小さい国で、王に仕えていたらしいです。王を支えるため、汚い仕事も引き受けてがんばっていたのですが、まわりの無理解に耐え切れなくなって、退役して、この屋敷を買ってひきこもった。

ケイ こいつ……かわいそうなヤツだったんだなぁ。と、思っとく。

GM 「ああ、だがしかし。あの事件さえ無ければ、わたしは今も、あの国にいたのかもしれない。まさか、己の手で、姫を……」 で、日記は途切れています。以降のページが破られてる。

ケイ 続き! 続きは!?(笑)

外野のアセナ 意味深すぎる!!(笑)

ヴィア これ、答えひとつにしぼられてるよねぇ。

リーメイ 殺したんやろなー。

ケイ コイツ、ケイの姫になにしてんの!?

リーメイ 「ケイの」てなんや? マスタァ?

ヴィア マスターってば欲張りだなぁ、お姫様ごとき……いやなんでもないよぉ?

GM ヴィアの反応も意味深だなおい(笑)。

 

 ミドル02――扉破壊(全力で☆)  アセナ

GM アセナのターンです。さぁ、どうする?

アセナ え、ええと……。

GM アセナは、今、寝室のベッドの上にいます。そして、あからさまにゴハン扱いされました。

アセナ ここにいるのはヤバい! まず、逃げようとする!

GM 部屋の扉は、ひとつしかありません。ドアノブをひねっても、カギがかかっています。
 というわけで、【器用】判定を行ってみましょうか。達成値が高いと、ピッキングで扉を開けられたことにしましょう。

アセナ え、でも、アセナ、【器用】の能力ボーナス、2しか……。

GM おっとそうだこの子、魔術師だった! 【器用】高いわけねえ!(がびん)
 ……みつかるの覚悟で、攻撃魔法で扉を破壊するのもアリですが……。

アセナ というか、それしか考えてなかった。

GM それ「しか」って言ったぞこの子!?(驚)
 では、魔法で破壊しちゃいますか? 間違いなく、爆音が鳴って、メイドに気づかれてしまいますが。

アセナ はい、しちゃいます。

GM 本来は、魔法が当たるかどうかの命中判定が必要ですが、今回は、相手が扉なので、その工程はすっとばしましょう。ダメージロールを行って下さい。
 アセナが使うのは、《エアリアルスラッシュ》スキルレベル1。これは、ダメージがスキルレベル+1ダイスのスキルです。更に、アセナは《ウインドセイバー》スキルレベル1を取得しているので、+1ダイス。合計で、3ダイスふって下さい。

アセナ ダイス目が、6、4、2。足して、12ダメージ!

GM そのダメージですと、扉ごとき、粉々でございます。ですので、次のシーンから、廊下に出て、逃げることが可能になりました。

アセナ はぁい!

GM 派手な音が鳴りました。ので、ナイツ組! 【感知】判定をお願いします!
 全員、10以上が出ましたね。ならば、全員、音には気づきました。そして、13以上を出したケイ。ケイは、音の発生位置も大体つかめました。マップの左下あたりから聞こえた。

ケイ なんか、あっちのほうから聞こえたような! わたわたしながら指差す!

ヴィア 絶対、なんか壊れたよね~ぇ?

リーメイ あっちってどっちやねんな、マスター!?

ケイ 指差してるよわかってよ! もっとケイを見て!?

GM と、同時に、お台所にいたメイドも、こてんと首をかしげます。 「あら? なんか、にげたです?」

アセナ ぎゃー! やばいやばい!

GM 「にげたです……だめです、なんねんかぶりにてにはいった、しんせんなおにくなのに!」 ぱんぱん! と手を叩くと、宙に、ひとつ目の機械がわらっと出現します。 「旦那様におだしするおにく、さがせです!」 メイドが命ずると同時に、ひとつ目の機械は、屋敷中に散らばりました。

ヴィア 気持ち悪っ!! 正直に言おう、気持ち悪い!

GM えええ、可愛いじゃない、ひとつ目!

 

 ミドル03――宝の山を捜索せよ!  ナイツ組

GM さて、どうしますか?

ヴィア そりゃ、音の鳴ったほうに、

ケイ (ヴィアにかぶせるように)音の鳴ったほうに、行くという選択肢と、行かないという選択肢があるぜ!

GM お、「君子危うきに近寄らず」ですか。

ケイ しかし! マスターは……鳴ったら行く(断言)。

GM 近寄りまくりー!?

ケイ なにも考えずに、面白そうなほうに行くよ?

リーメイ どーせ女がおったらええなとか考えてんやろ、女のために行くんやろこのクソマスター!

ヴィア 華を求めて行くってわけだねぇ。

外野のアセナ ちょ、ギルドメンバーがひどい(笑)。

GM たーたん! 宝物庫です。宝が山のようにつんである。しかし、その一角に、不自然に石の山もあります。

ケイ 罠の香りがしなくもないので、トラップ探知してみてもいい?

GM あ、石の山を調べる場合は、【感知】です。

ケイ 感知? なら、感知る! 達成値14!

GM 1D6して下さい。

ケイ 5!

GM 50G相当の宝石を、5個みつけました。

ケイ 金!(喜)

GM プライズイベントが終わると同時に、だれかひとり、代表して【敏捷】の判定を行って下さい。これから1タイル終了時に毎回やりますので、順繰りに、全員にダイスふらせます。

ケイ ほう。ではとりあえず、マスターが。任せろ、達成値13!

GM お見事。石の山に皆がむらがっているところを、さっきの機械がふらっとやってきました。が、部屋の外からなかをチラっとのぞいただけで 「異常無シ、異常無シ」 と去ってゆきました。

 

 ミドル04――2階に上がると逃げられない。  アセナ

GM アセナは、マップ上のどこにいるかはわかりません。まっすぐ行くか、左に曲がるかの2択です。

アセナ まっすぐ!

GM オーケー。たーたん! おっと、うっかり階段イベントですね!

アセナ 上に登る階段? 下に登る階段?

外野のケイ 下に登るって日本語おかしいから!(一同笑)

GM 2階に登る階段です。あ、窓を見ると、ここが1階らしいことはわかります。

アセナ 2階に行っても逃げられそうにない。ここは、登りません。かいだん、かいだん……。

外野のヴィア レコードシートのメモ欄とかに書いておくといいかもー。

GM 書き終えたら、【敏捷】判定、参りましょうか。

アセナ ていっ。クリティカル!

GM なにかが近付いてくることを察知して階段の後ろにかくれると、ひとつ目が寝室に入ってゆきました。 「イナイ、イナイ、報告」

 

 ミドル05――VSゴーレム、そして合流  ナイツ組

リーメイ  ウチはマスターに任せるけど?

ケイ なにも考えてないマスターはまっすぐすすみます!

GM たーたん! バトル! 部屋の中央に、ゴーレムが座っています!

ヴィア まぁたゴーレムぅ!? めんどっちいなぁ、もう!

GM ゴーレムさん、あからさまに、いやな感じに胸のクリスタルが点滅してます。 「侵入者発見、侵入者発見」 襲いかかってきます。

ケイ みつかんの早ぇよ! 戸ぉ開けたとこじゃねえか!

 しかし、GMのダイス目が悪かったせいで、部屋にいたのは、アイアンゴーレム1体のみ。
 【放心】効果のある「雷鳴の弓」持ちのケイがいるパーティで、敵になるはずもなかった。

GM 2ラウンド目のリーメイの攻撃で、倒れました!
 そこで、ご期待にそって、自爆! 16のHPダメージどうぞ!

ヴィア 《プロテクション》! きっかり16ダメージふせぎました!

 アイテムドロップ 「ゴーレムの宝石」

GM アセナ、【感知】判定を行って下さい。

アセナ う?

GM なんか、うるさい。近くが。どこから音がしてるんだろう?

アセナ あ、そっか! ええと、達成値10!

GM 二桁いったので、気づきます。あ。隣の部屋だコレ。

アセナ 近っ!

GM 扉を開けてもいいし、怪しいから開けない、という選択肢もアリです。どうしますか?

アセナ もちろん開けますよ!

 扉が開けられたことにより、二組のマップが合体する。

アセナ ばたん! と扉を開けて、横からじーっとながめてる。

GM ナイツ組。ゴーレムをはぎはぎしていると、横の扉がばたんと開いて、こっそりのぞいているオオカミ娘がいますが。

ケイ おんなのこ……!(悦)

アセナ ふるふる震えてる。

ケイ 全力で近付いて手をとる。とりあえず、お茶とかしないですか?(にこっ)

リーメイ マァスタァ? 耳そぐよ?

ヴィア そげばいい。

ケイ あれ、パーティに味方がいない。

アセナ いきなり触れてきたウサギの手をガブッ。

リーメイ マスターに飛び蹴りする!

ケイ あわてて手を引いたら、後ろから蹴りが!?(笑)

GM あの、だれかアセナの名前とか事情とか聞いてあげて!?

リーメイ で? アンタだれなんや?

ヴィア ココでなにしてんのぉ?

リーメイ ま、その様子から見るに、囚われてた、っちゅうトコやろうけど?

アセナ い、いきなりイロイロ聞かれて戸惑ってる!

GM ほう。では、戸惑っているところに。 「発見、発見! ニク、発見! アレ、侵入者モ! 来ル! 来ル! 皆、来ル!!」 ひとつ目の機械が登場。派手にランプを鳴らして、同型機を呼び寄せようとしています。

ヴィア うわぁあ……アレ無理。ほんと無理!

リーメイ ウチも! あれ、翼で叩き落してええ!?

GM はい、そんなところで、

アセナ 皆を放っておいて、ひとり逃げようとする!

一同 えええええ!?(笑)

リーメイ そんなオオカミを引き止める!

ケイ いや、アセナは速いだろ。

ヴィア 逃げようよぉ~、コイツら、肉発見とかわけのわかんないこと言ってるし気持ち悪いぃ~。

GM ええと、逃げようとしてたり、引きとめようとしてたり、いろいろですね? では、皆がもたもたしている間に、敵は来ます。
 アセナが扉の向こうにいて、他のPCが、

ケイ ケイはアセナに近寄ってる!

GM 了解です。ならば、ケイとアセナがエンゲージ、他2名は、2人に駆け寄りかけてることにしましょう。それぞれ、彼我の距離は5mずつ。
 エネミーは、最初に騒いだやつは、先程、寝室に入っていったひとつ目機械です。加えて、他の客室から2体、わらわら出てくる。ひとつ目エネミーが合計3体ですね。
 そして、更にイベント発生。中央に、新しいエネミーがどーん!

アセナ また増えたっ! だれ!?

 

 ミドル06――謎の錬金術師  全員

GM 牛の顔に人間の体。とても大きなコウモリ羽が生えてて、呪文の描かれた腰布を巻いてます。ポーションホルダーをつけてて、数え切れないほどのポーションがずらーっ。

ケイ とても強そう怖い! しかし腰布ハァハァ!

リーメイ マスター! ええかげんにせえ!

GM/錬金術師 「侵入者が……変態だと……!?」(笑)

アセナ いろんな意味でふるふるしてます……。

GM ひとつ目がアラームぴこぴこ鳴らしてる横で、羽エネミー……錬金術使いの魔族ですが、しずかな声で言います。 「おや、侵入者とは何十年ぶりだろうか」

リーメイ コイツ、しゃべんねや……。

GM しゃべります。意思疎通が可能です。

ケイ そいつ、オッサン?

GM うーん、そうですね。それなりの年月を感じさせる、深い声。 って、全員、すんごいイヤそうな顔!?(爆笑)

ケイ オッサンに興味は……。

リーメイ もーすこし顔良かったらええねんけどな~、牛は射程外やわ。

ヴィア 草食動物だし、食ったら旨そうなんだけどさぁ~。ボク、オスイヌだけじゃなく、オスウシもキライだから。ケダモノが二足歩行すんなってのぉ。

GM 敵意むきだしで嫌がられてるなぁ。ふむ。

リーメイ イケメンやったら、ウチは寄っていってたんやけど。

GM イケメンってか、どちらかというと学者肌のインテリ系ですねぇ。錬金術師ですし。

アセナ 逃げたい。逃げたい。

GM 「オスは好みではないか。ならば、」 魔族は、ポーションホルダーから一瓶とりだして、一気にあおります。そして、 (と言いつつ、フィギュアを女の子のものに取り替える) 「これならいかが?」(一同爆笑)

ケイ ゼヒお友達になりましょう!!!

ヴィア&リーメイ マースター!!!(怒)

アセナ いやほんとそんなのどうでもいいから逃げたい。

ヴィア マスター! 姿に騙されないで! 中身はオスだ!!

GM/錬金術師 「あらあら。雌雄なぞ下らない。錬金の秘儀をもってすれば、オスをメスに変えることも、機械に命を与えることも、命をガラクタに変えることも容易ですもの」

ヴィア おまえになにがわかる……!

リーメイ ああん、惜しいわぁ。イケメンになってくれたら、ウチが喰ってあげるのに!!

GM 美女になった魔族は、アセナに目をとめます。 「あら。あなた、コマドリが言っていた肉ではない?」

アセナ ぎくっ。

GM 「そう、そうなの。あの子、逃げられてしまったの。まったく、本当に、つめが甘いのだから」 魔族は妖艶にためいきをつきます。 「仕方がないわね、あの子のためだもの。とりあえず捕まえておこうかしら」 面倒そうにしながらも、戦闘に入りましょうか! かまいませんか!?

ヴィア いいよー!

ケイ こ、このそばにいるオオカミっ娘を守ればいいのやら、あの美女に近付けばいいのやら……!

戦闘配置 第1ラウンド
「ひとつ目A」  「ひとつ目B」
「アセナ ケイ」  「女魔族」  「リーメイ」
「ひとつ目C」  「ヴィア」

GM 錬金術師、行動値14! 移動はせずに、ケイとアセナのエンゲージに《ハンドグレネード》! 爆発おこす小瓶を投げます! 命中値17!

アセナ 回避値13、無理です!

ケイ ん!(クリティカルしたダイスを指す)

GM 敵の強さを示す一撃目は当たって下さいよ! アセナに物理28ダメージ!

アセナ 防御修正引いても、一撃死します。え、一発目から《ガーディアン》?

GM それでもいいですし、ヴィアブレイズにプロテク撃ってもらっても。ただ、ヴィアブレイズの悩みどころは、いまだ敵か味方かもわからない少女を庇うか否かかな。

ヴィア 一撃死はさすがに可哀相。というわけで、ヴィアの慈悲発動で《プロテクション》。 6ダメージ軽減!

アセナ 残りHP5! 一応、ヴィアくんにペコペコします。

GM あはは、礼儀正しい!
 錬金術師は、一撃で落とすつもりだったので、意外そうです。 あれ、こいつら、思ったより強い。ひとり避けたし(笑)。

ケイ 行動値12! ケイ動きます! しかし、エネミーは全員、飛んでるんだよな? ということは、エンゲージしても止められない?

GM 止められませんねー。

ケイ だよなぁ……しかも、だれを迅速に倒すべきかも、さっぱりわから……え? ほんとにどうすれば? えぇえ?(ガチ悩み)

GM だって、会話ロールも発生させたし、しつこく「戦闘開始するよ」って確認したのに、だれも移動しないし、[エネミー識別]するって言わないんだものー!(笑)

ヴィア あ、忘れてた(汗)。

ケイ いちばん近いひとつ目Aに、ふつうに弓撃つ! 当たったら[放心]、物理14ダメージ!

GM ダメージ食らいましたが、すずめの涙っぽい感じ。錬金術師が、更に面倒そうな顔になった。
 続いて、行動値12のひとつ目機械3体! とりあえず、さっきケイにダメージ食らったAは、体にヒビが入った時点で《崩壊》を宣言。 「部位ノ損傷ヲ確認。情報ヲ守ルタメ、自己ヲ破壊シマス。破壊シマス」 どかーん!

リーメイ えええ!?

GM 基本的に、巡回用の機械なので。
 次! ヴィアブレイズの後ろにいたひとつ目Cが、ランダムで……リー・メイに対して《エアリアルスラッシュ》! 命中値21! 当たるね!? ええと、ならば、ダメージ。通常が1ダイスで、スキルレベルを足して……あれ、でも、こいつ《ウインドセイバー》も持ってる……。合計、〈風〉属性25ダメージ!

ヴィア 《プロテクション》! 14点軽減!

GM ひとつ目B! ケイに対して《エアリアルスラッシュ》! あ、クリティカル。 〈風〉41ダメージ!

ケイ そもそもHPが1残る、魔法防御が2あるので……ほらぁ、3もHP残るよ! 《プロテクション》お願いします!

ヴィア 10ダメージ軽減!

アセナ 行動値10、私の手番。

ケイ ひとつ目は、1でもダメージ通したら、自爆してくれる。ただ、アセナは、逃げてもいいと思う。

アセナ そうなんだけど……敵がいない方向って、探索してないから、なにがあるかわからなくて怖い。しかし、逃げたい。私的にもアセナ的にも。

GM 扉が全開なので。マイナーアクションで、となりの部屋に移動力ぶんだけ逃げて、魔法撃ってもいいですよ。位置的に、逃げても錬金術師のみは視界に入る。

アセナ えー、でも報復が怖い……。できれば、敵の攻撃が来ないところに逃げたいんだけど……。

GM それは、このラウンドのみでは無理です。アセナの移動力が足りない。逃げ切りたいなら、やはり隣の部屋移動をおすすめしますが……《プロテクション》が飛ぶ範囲内で。

アセナ 《ガーディアン》あるよ。

GM まぁそうですが。一応、言っておくと、コレ、中ボス戦闘。

アセナ&リーメイ 中ボス強すぎる!!

GM そのための《崩壊》持ちエネミーです。あと、ラスボス戦は、いろいろ仕掛けあるので(苦笑)。

アセナ んんんー……この位置に移動して、それから、コイツに攻撃すれば、そのあと逃げられ……?

GM アドバイスすると。この場合は、自分より素早いエネミー相手に逃げ切ることを考えるより、守ってもらいながら撃破することを考えたほうが建設的ですよ。

アセナ では、移動せず、アイBに《エアリアルスラッシュ》! 〈風〉8ダメージ!

GM 機械に【精神】なぞない! というわけで! 「攻撃ヲ食ライマシタ。情報ノ保護ヲ優先。自爆シマス」

ヴィア さて。ボクとリー・メイちゃんの行動値は、同じなんだよね。どうしようかな。

アセナ ヴィアくん、近いんだし、アイCを攻撃したら……。

ケイ 回復を! ヴィアクンはお願いだからケイの回復を!!

GM ちなみに、錬金術師は、ぶつぶつつぶやいてます。 「思いのほか強い……。一度、引くべきかしら。いや、でも、こいつら程度ならば、私ひとりでも……?」

ケイ ほう! できれば引いて下さい!

リーメイ ウチは、どうしてもこの錬金術師を斬りたい!!

ケイ アイCを斬らないと、次のそいつの攻撃で、確実にケイかアセナが戦闘不能になるぜ!?

ヴィア 同時に2人は回復できないから~。

リーメイ ……はぁーい。ひとつ目Cにエンゲージして、斬ります。命中値14!

GM …………あ。ごめん、ギリギリで避けた。

リーメイ ほらぁあああ!! だからあの女魔族を……!

ケイ いや、あのお姉さんのほうが速いから!

ヴィア えっとー、どっちを回復すべき? 避ける可能性が高いのはケイだけど……アセナちゃんは、全回復したところで、攻撃食らったら守りきれないかもだよね。

ケイ それに、ケイは唯一、アイ達より速く行動できるから。もし、マスターが錬金術師の攻撃で戦闘不能になったら、アイの攻撃が飛んで、たぶんグダグダになるぜ。

ヴィア わかった。ケイマスターに《ヒール》! 21点回復!

GM 1ラウンドが終了しましたね。ならば、錬金術師は、結論を出したようです。

「回復役もいる……そして、もう既に2体も倒された。このまま意地になって戦うのは得策ではないわ」
 女錬金術師は、黒い羽をはためかせて、戦線を離脱しようとする。が、思い直したように、一度、地に舞い降りた。
「この屋敷には、現実をみることを知らないコマドリが一羽。主を失ったコマドリは、この屋敷と共に朽ちゆくしかない。だからどうか……最期まで夢をみせてあげて」
 慈愛をこめてささやくと、魔族は、今度こそ姿を消した。

ケイ 第2ラウンド、残り1体を撃って自爆させる!

GM はい、当たりました! というわけで、全員、自爆します!

ケイ ふう。平和になりました。

GM アイテムドロップはできないけど、ちゃんと経験点は入りますのでー。

 

 ミドル07――オオカミ娘とウサギのマスター  全員

ケイ とりあえず、回復しない? あと、ちゃんと会話をすべきだよね(笑)。

ヴィア オオカミちゃんとケイマスター、リー・メイを《ヒール》しまーす。

アセナ 見知らぬピエロさんにぺこぺこ頭下げながら、逃げようとします。

ヴィア ち、ちょっとぉ! 助けてもらっておいて、お礼のひとつもないわけぇ!?

リーメイ アンタ、待ちや! 飛んでマウントとって、オオカミの首ねっこひっつかんで、体重かけてのしかかる!

GM なんでそんなみんなヤクザみたいなの!?(笑)

ケイ ま、マスターは女のコには優しいよ!?

アセナ い、いちおう頭下げたのに! ふるふる震えながらも、暴れてかみつく!

リーメイ ほぉ~お、ウチにかみつくんやな!?

ヴィア リー・メイちゃん、おさえておさえて! だぁいじょうぶ、マスターは女の子には目がないけど、やさしい人だから!

GM それ、目がない時点でだいぶ危険じゃないか?(笑)

ヴィア 危ないことはしないから! この人、オオカミじゃなくてウサギだから!

リーメイ えー? ヴィアさん、よーく考えて? ウサギは年中発情期やで?

ヴィア この子はオオカミだから、おそわれても大丈夫でしょ?

GM ちょ、女の子を不安にさせまくるのどうかと思うよ、そこの2人!? ていうか、他人をいじるタイプの下ネタはほどほどにね!?(汗)

アセナ グルグルうなる。

ケイ ひとりで放っておくのは心配だから。いっしょに行こうぜ! と誘う!

アセナ じゃあ、そこではじめて、まともに言葉を。 外までなら、おっけ。

ケイ ……GM?

GM はい?

ケイ (たたみかけるように)ケイたちは、この屋敷の安全を確保しに来てるよな? 調べなきゃいけないよな? なか入らなきゃいけないよな?

GM あははは、はい、そうですね(まるで他人事)。

ケイ そ、外まで送る? え、でも、うっかりそのままセッション終わるまで放置だぜ?

アセナ 逃げます。

ケイ なんだと!?

GM ええと、お互い、なんの事情説明もしてないからでは? 不審者に「一緒に行こう」って言われても、うなずけないだろうし。ていうか、自己紹介して下さい。

ケイ ケイたちは、実は、かくかくしかじかなんだよー。

アセナ (自分は)……連れてこられた。 と、一言。

ケイ ……キミは、どこに行きたいんだい?

アセナ 首を横にふる。

ヴィア どこかに行きたいわけじゃない? なら、おうちに帰りたい?

アセナ 首を横にふる。

ヴィア ……どゆこと?

リーメイ 家にも帰りたない、どこにも行きたない。なんちゅう子やねんな。呆れモード。

アセナ ……わか、らない。

ヴィア なにが?

アセナ ……ぜんぶ。

ケイ (素で)なぁ、これ、名前聞いたっけ?

GM 聞いてないですー。

ヴィア おうちわかんない? じゃ、わかるもの、ナニ?

アセナ な、まえ?

GM ヴィアくんナイス! その流れで名前を聞くんだ!

ヴィア じゃあ、名前なに?

アセナ アセナ。

ヴィア アセナちゃんって、かわいい名前してるよね。ねーマスター?

ケイ きらきら。

リーメイ ウチ、リー・メイ!

ケイ ギルドマスターの、ケイです!

ヴィア ヴィアブレイズ! ヴィアでいいよ!

アセナ わかった。から、もうそろそろアセナを解放して(苦笑)。

リーメイ ん、放したるー。

ケイ 放置は危険なので、やっぱり一緒に行かないかと、もっかい言う!

アセナ ちょっと考えて、うなずきます。

ケイ うっかり中を探索するけど、いい?

アセナ しばらく考えて、こくこくうなずく。

ケイ 一緒に行くという方向で、まとまった!

GM では、がしゃーん! と窓を突き破って、一匹のワシが、アセナに突撃!

リーメイ なんやコレー!?

アセナ ルク! ルク、ルク! 使い魔!(喜)

ケイ 焼き鳥……(じゅるり)。

アセナ ルクは、アセナの肩に乗るくらいの大きさね。で、焼き鳥扱いしたマスターをつんつんつついてる。

ケイ ぎゃ! 食べ物じゃなかった、知り合いだった!(笑)

ヴィア てゆーかー。マスターって、肉食だったっけえ?(にやにや)

リーメイ どう考えても、草食やろ。ウサギやし(にやにや)。

ケイ マスターは、ウサギ、ではない! 耳が生えているだけで!

GM (亜人種を動物扱いするのって、リアルに失礼じゃないかな……どこまでネタなんだろう……) そろそろいいですかー? 時間もせまって参りましたので、ガンガン巻いていきますよー?

一同 はーい。

GM では、ルクが派手に窓を突き破ったことにより、現在位置がモロバレました。
 「しんにゅうしゃ! だめです! とりもだめー!」 叫びながら、コマドリメイドが2階から降りてきます。

アセナ ぎゃ!? 目の前!?

GM あ、逃げようとしたり自己紹介したりしてましたし、隊列、整えなおしていいですよ。

 

 クライマックス――夢の終わり  全員

 階段から降りてきたメイドは、小さなものを、毛布にくるんで持っていた。
「うるさくする、だめ。旦那様、おきちゃう!」
「旦那様……?」
 不審げに、ケイがつぶやく。メイドは、ぎゅーっと、大切なものを抱きしめるように、かたまりを抱く。
「起こすのがいやなら、連れて来なきゃいいんだよ」
 呆れ返ったように、ヴィアブレイズが突っこむ。愕然としたのち、メイドはみるからに落ちこんだ。
「我、しっぱい……しょぼん」
「こ、この子、バカだ……!」
「しっぱい……おこられる。旦那様、おきたとき、しずかでなきゃ。旦那様、ひとりがいいっていってた」
 メイドは一生懸命に考える。大好きな「旦那様」にとって、いちばんいい方法はなにか。
「みんな……たおせば、ここにいるにんげんは旦那様ひとり。そうすれば、旦那様、おこらない!」

GM メイドが自己完結したあたりで、たーたん!(フィギュア出す) 帰ってきた錬金術師(女ver)!

アセナ 間違ったハガレンのタイトルみたいだよ!

ケイ おんなのこ……いっぱいだ……(ほわん)。

GM 「この子を、見逃してやってくれないか」 女錬金術師は、メイドにそっと寄り添って言います。

ヴィア 代わりに、ボクらを見逃してくれるの~ぉ?

ケイ 「ボクらを」っていうか、今後も来るであろう、国の軍隊とか調査員たちもだよ!

ヴィア あ、忘れてたー(笑)。

GM (おっと、トリガーだ)軍隊って聞いたとたん、メイドが興奮してさわぎます。 「ぐんたい! だめ!」

「だめ! だめ! 旦那様、いつも、ないていらっしゃった! ぐんのひとたち、旦那様きずつけた! 我、しってる!」
 甲高くさえずりながら、ぴょんぴょんと、メイドは興奮して飛び跳ねる。 と、手をすべらせ、メイドが抱えていた包みが落ちた。
 ごろん。
 床に転がり、現れたのは、人の、頭蓋骨。
「ああ、旦那様! おとしちゃった! 旦那様ごめんなさい!」
 あわてて、メイドは「旦那様」を拾って、抱きしめた。

アセナ で、ですよねー……。予想はしてたー……。

「この子は、あれが作った機械だ。人に裏切られたひとりの魔術師が、魔族の我と契約し、命を宿らせた機械。
 あの子の教育が終わる前に、あれの寿命がきてしまった。この子は、自分の主の死が認識できない。ただひたすら、主に言われた、『しずかにしろ』という命令を、守り続けている」
 邪神につらなるはずの魔族は、いとおしげに、メイドをみつめる。
「この子は、この屋敷の静寂を守り続けている。あれが死んでから何百年も――主がおきて、次の命令を下すまで」

ケイ ほろり。

GM/錬金魔族 「この屋敷に侵入する者を、このコマドリは許せない。それが『旦那様』の命令だからだ。ここにだれも入ってこなければ、この子が機能停止するその日まで、この子はただ、この屋敷でしずかに暮らすはずだ」

ケイ ほうほう。
……え、ええと、整理しよう。国は、この屋敷をどうしようとしてるんだっけ?

GM 「屋敷の所有者の魔術師が死んだであろうに、屋敷が放置されてるのはよくないから、調査をしたがってる」かな。「なかになにがあるのかわかったもんじゃない、という不安」もあります。
 で、実際は、魔術師は確かに死亡してた。屋敷のなかには、主の命令を忠実に守り続けてるメイドが1体。あと、その保護者の魔族(笑)。

ケイ ふむふむ。
 とりあえず、マスターは、メイドさんがカワイイので、言うことを聞いてあげたいですが!!

ヴィア この子が機能停止するように、手伝ってあげるのが得策じゃないかなー。

リーメイ ああ、それええなぁ!

ケイ&アセナ ちょっ! わたわた!!

ケイ でも、女のコだよ!

リーメイ オンナである前に、ただのロボットやないの!

ケイ 見た目、重要!(断言)

ヴィア マスター、この子は、嘘にひたってるんだ。現実をみせるより、心地よい嘘のまま眠らせてあげたほうが、女の子のためじゃないかなぁ。

ケイ わたわた!

リーメイ ヴィアさんに逆らうんやったら、その耳切り落とすぞ!!

ケイ ……て、敵しかいないんですけど! なにこの敵が味方で味方が敵みたいな!!

GM あはははははははは!!(爆笑) ちなみに、アセナはどんな感じ?

アセナ だまって、ケイをみつめてるかなぁ。なにも言わない。なぜなら、アセナはなにも関係ないから。

GM もっともだ! 至極最もだ!! 見事な演技ロール!!(笑)

 ちなみに、このシナリオは、「メイド&魔族と戦う」クライマックスと、「メイド&魔族と和解する」クライマックスを用意していた。
 和解ルートは、更に「コマドリの屋敷を案内してもらい、安全性を確認。それを交渉材料に、神殿と交渉する」ルートやら、「コマドリのために、ラインの兵士たちと戦い、屋敷の自治を認めさせる」ルートやら、かなり細かく分岐して用意していた。 本ルートとして考えていたのは、和解ルート。そのため、中ボス戦闘をきつくするなどして、『ラスボスであるコマドリは、更に強いですよ。おまけに、苦戦した魔族まで一緒ですよ』を強調し……たつもりだった。うまくいったかどうかは、微妙であるが。

GM えっとね、現状を説明すると。錬金術師的には、「がんばってくれ、そこのウサギ!」。しかし、メイド的には、「敵意向けてるのが2人、好意向けてるのが1人、あと肉」(笑)。

アセナ まだ肉扱いだ!(がーん)

GM ケイと、リーメイ&ヴィア。両者、ゆずる気ないですか? その状態ですと、メイドは 「にくがたくさん……!」 と襲うしかないんですが。

アセナ ねぇねぇ、その錬金術師って、一体なんなの? なんのためにここにいるの?

GM はいはーい! ナイス質問! 実は、錬金術師に関するイベントも用意してたのに、時間がなくて発生させられなかったので、ここでガッツリ説明するよ!(笑)
 錬金術師は、魔術師に召喚され、契約を交わした魔族です。契約内容は『魔術師が殺してしまった姫に似た、けれど魔術師をけして裏切らない忠実な機械人形の作成を手伝うこと』。
 最初は、契約が完了した時点で、魔術師も人形も殺すつもりだったのですが。研究がてら教育しているうちに、うっかり情が移りました。元々、自分が命を与えたもの = 自分の娘みたいなものですしね。

アセナ メイドを、殺してほしくはない?

GM もちろんです。魔術師の死によって契約が切れたにも関わらず、屋敷にとどまって見守ってるくらいには娘が可愛い。魔族である自分が本気出してつくった機械人形なので、機能停止するのは何百年何千年後になるかわかりませんが、それでも、機能停止する瞬間まで、メイドの夢を守りたい。
 娘が戦うなら、魔族も戦いますよ。

ケイ わたわた! こんなつらい戦闘をしなきゃいけないなんて! そんな馬鹿な!!

リーメイ 馬鹿言ってるマスターの耳を、ぞうきんのごとく絞ります。

ケイ 痛い痛い痛い! まじ、味方ぁああ!!(泣)

GM (これもう無理だな、平行線だ。戦闘しよう。ごめんねケイプレイヤー……)
 「さわぐ、だめ、旦那様おきる!」 メイドがおそいかかります。
 「どうして、早く逃げてくれないんだ!?」 錬金術師も参ります!

アセナ うん。ほんとになんでだろうか(素)。

戦闘配置 第1ラウンド
「女魔族」  「メイド」
「リーメイ」  「ケイ」
「ヴィア」  「アセナ」

GM えっと、全員、好きに戦闘配置していいですよ。

ケイ え? でも、戦闘になったとたん、バッ! と散開するって、どうなの?

GM ケイは、移動すると不自然ですねぇ。でも、リー・メイとヴィアブレイズはずっと戦うつもりだったし、アセナは逃げたいし、じりじり動いてても不自然ではないと考えます。というわけで、ケイ以外は動け。

ケイ マスターがわたわたしているあいだに、みんなエンゲージからはなれただと!(笑)

アセナ えっと、戦闘に入る前に、なんか調べられるんだっけ?

GM はい! しましょうか、[エネミー識別]! この敵がどの程度のレベルなのか?持っているスキルは?などが調べられます。今回は、メイドと女魔族、2種類いますので、どちらを調べるか宣言をお願いします。

ヴィア 錬金術師やりたい! 達成値13!

GM お、成功です。女魔族はなんと、ハゲンティでした~。 (ハゲンティの情報開示)

アセナ メイドさんやりたーい! 達成値10!

GM 判定値に届かない。

ケイ&リーメイ こちらも無理ー。

GM メイドは、謎のメイドですね。

リーメイ 骨なんかに執着する、馬鹿なメイドやろ。

ヴィア 馬鹿じゃないだろうけど、嘘に囚われた哀れなヒトだよ。

GM さっきから突っこもうと思ってましたが、ヴィアブレイズ! メイドは、「死を認識できない」だけで、自ら現実を拒否してるわけじゃないですからね!? 旦那様の言うことしか聞けない仕様になっているから、女魔族も説得不可能なだけで、魔族に騙されてるわけでもないし! ノー誤解!
 というわけで、メイドは、旦那様を抱えたまま戦おうとします。

ヴィア ふ~ん。旦那様を、傷つけるつもりぃ?

リーメイ なんなら、その頭蓋骨、盃にしてやってもええねんぞ?

GM (!? ちょ、旦那様を抱えてると、メイドは弱体化なんですけど!? そんな指摘されたら、反応するしか!) 「だ、旦那様、おいてくる!」 メイドはぱたぱたと駆けてゆき、階段の裏あたりに、頭蓋骨を置いて、戻ってきます。 「ふう! これで、旦那様、あんぜん!!」 にこっ!

アセナ か、かわいいなぁ(苦笑)。

GM (……しまった。第1ラウンドの行動を「旦那様をおいてくる」にすればよかった。後の祭りだ……)さてさて、戦闘開始しますよ!

アセナ あ、はい! まずは女魔族の攻撃?

GM いいえ、メイドの行動値は17あります。

一同 速ぇええええ!!!

GM 言っときますが、メイド、すっごい強い設定にしてますからね? というわけで、マイナーアクションでちょっと横に移動。女魔族とエンゲージをはなれた上で《ホークアイ》。対象はランダムに選んでー……ヴィアブレイズ! 「旦那様のせいじゃく、みだす、ゆるさない!」

ヴィア 弓持ってるのこの子!?

GM いえ。演出的な話をすると。コマドリメイドは機械なので、メイド服の袖をたくしあげて、がしゃこんっと、肘を外します。そして、中からミサイル発射! 命中値19! 当たったね、ならば、物理46ダメージ!!

ヴィア 即死するよ!! 《プロテクション》!! 15点軽減! 残りHP19点って、なにこいつ怖い!

GM 続いて、女魔族! ランダムでー……ケイ! って、え、ケイ!? やだ、傷つけたくないなぁ……しかし仕方ない。ケイに《ハンドグレネード》! 命中値18!

ケイ 任せろ! 回避クリティカルだ!! 続いて、マスター動きます!

ヴィア 待って、[待機]してくれたら、《ラウドボイス》かけるよ!

ケイ う? なら、待つ。待機。

アセナ え? え? なら、アセナも待つー。なんだかよくわかんないけど。

リーメイ ウチもー。

GM なんだこの光景(笑)。

ヴィア では、ヴィアの行動! えっと、どっちを転ばせようかな!

リーメイ リーメイ的には、女魔族をやりたいなぁ。

GM 行動値は、【敏捷】に関係するよー、とヒントを出してみる。

ヴィア え?

ケイ 行動が早いほうが、敏捷が高い。つまり、回避値も高い。

GM 一般的には、ですけどね。

ヴィア えー? じゃあ、コマドリさんのほうがいいかなー。

ケイ どっちも、ケイたちより素早いことは変わらんし。どっちにしろ、転んだほうを集中攻撃だよ。

ヴィア では、ランダムでー……コマドリさん! 《ラウドボイス》! 呪歌判定、達成値18!

GM 「旦那様のめいれいいがい、ききません!」 《バッドステータス無効》です。

リーメイ じゃあ、女魔族にエンゲージ! 《バッシュ》使って、命中値13!

GM ごめん、ギリ避けたー。

アセナ コマドリさんに、《エアリアルスラッシュ》! 魔術判定、13! うわ、当たらない気がする!

GM あ。ファンブル。

アセナ 《マジックフォージ》も乗せて、〈風〉11ダメージ!

GM 防御修正にはじかれ、ダメージとおりません。メイドさんは鋼鉄の肌。

アセナ おわた!

ケイ コマドリにエンゲージした上で、女魔族に《ホークアイ》! 命中した! やった、なら、もう《ブルズアイ》も宣言! 物理38ダメージ! ものすごく済まなさそうに、ギルドメンバーを止められなくてゴメン! と言いながら、38ダメージ。

アセナ これはひどい(笑)。

GM ぼろっぼろになりながら、答えます。 「……娘を殺せなくて、済まない」

ケイ 泣くわ!!

戦闘配置 第2ラウンド
「女魔族 リーメイ」 「メイド ケイ」
「ヴィア」  「アセナ」

GM (やっばいなぁ……《ブルズアイ》がハゲンティのほうに使われた。これ、旦那様いないけど弱体化させないと、リアルに全滅する……「メイド強いですよ」の警告もうまく伝わってなかったっぽいし、リリアちゃんはじめてのTRPGで、それはまずいかなぁ)
 第2ラウンド! コマドリメイド、動きます! コマドリは、ランダムでいっか。 ころころーって、またケイ!?

ケイ いいよ! ケイだと回避の可能性あるしね!

GM ごめんなさい、優しくしてくれた人!(笑) メジャーで《クローズショット》、物理31ダメージ!

ヴィア 《プロテクション》! 17点軽減!

GM アセナに《ハンドグレネード》! 命中値17!

アセナ フェイトを2点使用します! やった、よけた!

ケイ 《ラウドボイス》にせよ《ホーリーウエポン》にせよ、とりあえず待機!

アセナ&リーメイ 仲間を信じて、待機!

ヴィア 女魔術師に《ラウドボイス》! 呪歌判定19!

GM あ。無理。こけます。

リーメイ 女魔族に《スマッシュ》&《バッシュ》! 物理攻撃、43ダメージ!

GM オーバーキル! 女魔族は、メイドに向かってささやきます。 「ごめんな……先に、逝く……」 ぱたん。

ケイ ぶわっっ!!(泣)

GM ぶわっ、して! 本当に!(笑)

アセナ なんか、魔法撃っても無駄な気がするんだけど……。 《エアリアルスラッシュ》!魔術判定14! でもダメージがさっきと同じ11! アセナ役立たずすぎるよ~!

GM (レベルの低いアセナが、高レベルなメイドに攻撃してるからです……。あああ、ミスったぁ……ハゲンティじゃなく、あからさまに筋肉馬鹿で魔法に弱そうな魔族に設定すべきだった)

ケイ マイナーで《ハイジャンプ》してメイドとはなれ、メジャーで《ホークアイ》! 命中値14!

GM えええ、なんで達成値14で当たるの!? もぉ~!!

ケイ フェイトを、もう4つ使ってダメージ足す!

ヴィア 《ディスコード》乗せる! ついでにフェイトも2つ!

ケイ 合計、56ダメージ!

GM 半分近くまで削り取られた。

戦闘配置 第3ラウンド
「メイド リーメイ」  「ケイ」
「ヴィア」  「アセナ」

GM リー・メイに対してのメイドの攻撃は、フェイトをつぎこんだ回避によって避けられました! そして、皆、待機か!?(笑)

ケイ イエース。そして、さっきの攻撃で半分近くってことは、ヴィアクンは《ラウドボイス》より《ホーリーウエポン》すべき。

GM ごめんなさい、言い訳になりますが、それ、遅くとも第2ラウンドまでにかかると思ってました!(泣)

ケイ うん、ケイもそう思ってたけど。好きな戦術ってあるからなぁ。

ヴィア フェイトの残ってるリー・メイちゃんに、《ホーリーウエポン》。

リーメイ よっし、ダメージ固定値が28!!
 メイドにエンゲージして、《バッシュ》! 命中判定にフェイトも足してー……クリティカル!!

GM ここでクリティカル!? それはすごい。よけられません!

リーメイ なら、《ボルテクスアタック》も宣言! 物理68ダメージ!!

GM 宣言しよう。残りHP、残り6。

リーメイ 残りやがった!!

 そして、第3ラウンド最後、ケイの攻撃にて。
「ごめんなさい……旦那様……」
 メイドの夢は、終わった。

 アイテムドロップ 「偽賢者の石」
          「護りの指輪」

 

 エンディング――依頼完了?  全員

GM 皆さん、一回、街に帰還しましょう。神殿に戻ると、フィリスが出迎えてくれます。 「皆さん、お帰りなさい! あら、はじめましての方も!」

ケイ なんか、増えてる(笑)。

アセナ みんなの後ろに、びくびくしながら隠れます。

GM 「ライン神殿へ、ようこそ~!受付のフィリスです~!」

アセナ 後ろにかくれてる。ブルブル。

GM 「あら? 照れ屋さん?」 って、めっちゃ震えてるっ!?(笑)

ヴィア だぁいじょおぶだよぉ、フィリス嬢はイイコだよぉ?

GM 「で。皆さん、依頼のほうはどうでした?」

ケイ 女のコひとり、ひろいました。

GM 「そ、そう、ですか!?」

ヴィア とりあえずぅ、危険物排除には成功したけど~ぉ。

リーメイ 痛々しいモン見てきたわ、まったく!

ケイ いや、部屋、あんまり回れてないから。他に危険があったとしてもケイたちが知らないだけじゃね?

GM 「?? ええと、地図を回収してもよろしいですか?」
 (素で)半分、回れてないのか! しかも2階も行けてない……。

ケイ だろ? なんもわかんねぇ。

アセナ 2階、行ったほうがよかった?

GM 依頼的には行ったほうがよかったが、そうするとアセナがナイツ組と合流できないから。アセナの判断はアリだと思いますよ。アセナは依頼受けてるワケじゃないですし。
 「2階がある、ということは判明。巣食っていた妖魔たちも、退治していただけたという解釈でよろしいですか?」

ケイ 見えていたところにいたぶんだけな。と、馬鹿正直に答える!

GM 「そ、そうですか~」 正直に答えるのか(苦笑)。

アセナ 受付嬢が困ってる困ってる(笑)。

GM 「そうなると、完全成功とは言い難くなりますので。成功報酬1500Gから、少し引かせていただきますが~」

ケイ 仕方ないよな。女のコ拾ったから、チャラでいいんじゃないか。

GM 「では、少し引かせていただいて、1000Gをお支払いします。この度はありがとうございました!」 フィリスがペコリとお辞儀をしたところで、エンディングを閉じましょう。

 

 マスターシーン――永遠の夢  (後日談)

 美しく聡明で、しかし愚かしかった姫。
 姫の願いを聞き入れ、罪を犯した忠実な魔術師。
 無垢なまま、ただ愛する主のためにさえずりつづけた一羽のコマドリ。
 朋を看取り、我が子に看取られた魔族。
 裏切りと孤独の上に成り立った物語は、語られることなく、屋敷と共に壊される。
 ――ライン神殿の一角には、名もなき魔術師と、可憐なコマドリの墓が、ひっそりと並んでいるという。

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