Q. NPOとはなんですか?
A. NPOとは、さまざまな社会的に必要な事業や社会貢献活動を、その活動に共感する人たちの寄付やボランティアを得て活動している組織です。
また、政府や企業とは異なった立場から社会的なサービスを提供し、社会的な課題の解決をめざす組織である、といった言い方もできます。
「市民活動」という表現ともかなり重なるところがありますが、その中でもよりもっと、恒常的にある目的・目標を実現するために組織づけられたものがNPOと言えるでしょう。
Q. 例えばどんなNPOがありますか?
A. 有名なNPOに、「国境なき医師団」があります。1971年にフランスの医師たちの小さなグループによって作られた同NPOは、世界各地の災害や紛争の現場にいちはやくかけつけ、緊急医療援助をおこなうことで知られています。
「国境なき医師団」は、多くのボランティア医師と常勤スタッフで構成されており、活動資金の多くは一般個人や非営利組織、企業や政府から寄付で賄われていますが、その8割が一般個人からの寄付によるものです。
また日本では、カンボジアでの学校建設や教育支援をおこなっている「特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会」や、電話で子どもの声をうけとめる活動をおこなっている「NPO法人チャイルドライン支援センター」などが比較的知られているでしょう。これらのNPOは、多くの共感者を得て、ボランティア参加者や一般個人からの寄付を多く受けています。
Q. NPOは何の略ですか?
A. NPOは「Non Profit Organization」の略で、直訳すると「非営利組織」となります。「特定非営利活動法人」と表記される事も多いです(日本のNPOに関する法律名から来ているようです)。
NPOはその名の通り、「営利(お金もうけ)を目的としない」組織です。
でもじゃあ、「お金もうけを目的とする」組織というのは何? というと、それは普通の会社・企業という事になります。もちろん、企業は「もうかることをやるのが目的」ということが基本的な部分であるのは確かですが、「世の中の人のためになる事業をやる(ことで利益を出す)」という会社も多いですし、最近は「企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)」という事が言われていて、企業もそのもうけたお金の一部を使って社会に貢献しなければ、という感じになってきています。
しかしこれがNPOの場合には、そもそもがお金もうけにはならない、寄付を得なければできない、ボランティアの人たちが協力してくれなければ回らない、でもそれらを得て、企業や会社が提供し得ないような社会に必要な事業をやる……という様なことが基本になります。
Q. NPOは何のためにあるのですか?
A. NPOは大げさに言えば、「社会の中のこの問題を、自分たちの力でどうにか解決していきたい!」という『思い』で成り立っており、そしてそのために存在しています。「苦しんでいる人を助けたい、力になりたい」「より良い社会のために努力していきたい」などの『思い』をたばねて、少しずつの地道な活動で、人々を勇気づけ、社会を変えていく事が、NPOの存在意義であると言えるでしょう。
各NPOはそれぞれにミッション(果たすべき目的・使命)を掲げています。そしてそのミッションにかかわる人たちは、多様な仕方でかかわっています。
NPOの理事は、社会的責任を負い、かなりの時間をとられるにもかかわらず、多くの人が無給でかかわっています。NPOの職員は、普通よりも低い給与で仕事をしています。また活動の少なからぬ部分が、ボランティアと呼ばれる無給のスタッフによって支えられています。
財政面からNPO活動に援助をしたいと望む賛助会員や、活動に必要なものの寄付をおこなう人もみな、ミッションの共感者であり、活動者です。それぞれの人がそれぞれに適したやり方でかかわって、目の前の状況に取り組んでいこうという事には変わりがありません。
Q. インチキなNPOがたくさんあるとも聞きましたが……?
A. 残念ながらその通りです。
NPOの中には、企業恐喝で代表者が逮捕された消費者保護団体、実体はテレクラに過ぎない環境保護団体、手かざしで水が甘くなるという宗教団体まがいの組織、皇族を悪用して詐欺を働くNPOなどがあったそうです。
不登校関連でも、子どもの死亡事故を起こしたNPOがありました。
率直なところ、NPOのすべてが素晴らしいとは、言えません。
ただ、その事もあってNPOは認可制で、承認が取り消されもしますし、また情報公開が義務づけられています。しかしやはり最終的には、それぞれの人がそれぞれのNPOのホームページや刊行物や出版物を見たり、または活動に触れたり参加してみたりして、自分なりに「ここは大丈夫」と判断するしかないでしょう。
ただ個人的には、ホームページや出版物や活動が「一見立派そう」なNPOが実は、信用させるための取り組みに過ぎなくて内実はダメで、「一見非常に貧弱」なNPOが、内実は一生懸命身を削ってやっていて、それら広報に手が回らない……という事もあると思い、また実際にそういう事があるので、難しいなぁ……とも感じています。
そういう事も含めて思うに、やっぱり企業でも行政でもNPOでも学校でも、「ここは信用できるはず」と最初から思いこんで接する事はまずくて、「どこもそれなりに欠点や、質の悪いところもあるはず。でも、必要に応じて協力もするし、悪いところは改善を促していきたい」という風に考えて接していくのがよいのではないかなぁ、と思ったりしています。
ここを読んで下さった方には、「ここはいい活動をしているのに……(認められていない)」と思ったNPOには少しの事からで良いので援助を、また「このNPOは内実はひどいものだ」と思ったNPOに関しては、口コミその他の方法で、少なくともその被害を受ける人を減らす様な活動をしていただければと思います。その、大したことのない少しの活動から、社会が変わっていくのですから。